『職⼈は⼿の中に脳がある』イタリアのデザイナー、エンツォ・マーリのこの⾔葉は、職⼈が⼿から⼿へと言語を介さず繋いできた思想や哲学体系があることを伝えています。中川⽊⼯芸の中川 周⼠⽒と開化堂の⼋⽊ 隆裕⽒が、2017年のミラノサローネで発表した同タイトルの展⽰を起点に始まった取り組みである本展は、英語の「Craftsman」や「Artisan」とは異なる意味や性格を持つ「職⼈」という⾔葉と、職⼈による「職⼈性」への探究によって、それぞれの作り⼿としての現在地を⽰し、これからの⼯芸の座標を映し出します。
会期中は、中川⽊⼯芸と開化堂に朝⽇焼、⾦網つじ、⼩嶋商店を加え、5つの⼯房が繋いできた「今」が⾒えてくる展⽰と、⼯芸を軸にしたシンポジウムやワークショップを開催いたします。※社会状況に応じて、開催内容を変更することがありますので、あらかじめご了承ください。
中川⽊⼯芸|中川 周⼠
中川⽊⼯芸ではその当時から受け継がれる伝統的な⽊桶の製作技法を⽤いて、おひつや寿司桶など⽩⽊の美しい⽊製品を数多く制作しています。近年、他の技法では表現が難しいデザイン性に富んだ⾰新的な作品の製作にも挑戦し、⽇本国内のみならず海外からも⾼く評価されている。
https://nakagawa.works/
朝⽇焼|松林 豊斎
朝⽇焼では、⼤きく茶の湯のための茶盌、そして煎茶のための宝瓶という⼆つの⼤きな軸を中⼼に茶の器を作ってきた。現代においては、松林佑典が⼗六世豊斎を襲名し、朝日焼の根底にある「綺麗寂び」という茶人小堀遠州の美意識を基に、茶道具としての茶盌や茶入、水指、花入などを中心に朝日焼伝統の鹿背、紅鹿背をはじめ、十六世としての作風であり現代的な雰囲気をもつ月白釉流しの作品制作を行っている。
https://asahiyaki.com/
開化堂|⼋⽊ 隆裕
時は⽂明開化の1875年(明治⼋年)、開化堂は英国から輸⼊されるようになった錻⼒を使い、丸鑵製造の草分けとして京都で創業。以来、⼀貫した⼿づくりで⼀世紀を過ぎた今もなお、初代からの⼿法を守り続ける。開化堂の茶筒は、へこみや歪みができても修理することで使い続けることができる。それは、⼿づくりだからできること。この先、もし修理が必要になっても、弊堂職⼈によって修理することができるよう、これからも絶えることなく技術を繋いでいく。
https://www.kaikado.jp/
⼩嶋商店|⼩嶋 俊・⼩嶋 諒
⼩嶋商店は江⼾寛政年間創業、京提灯の製造・販売を⾏なっております。
伝統を守り正統派の京提灯を作りながら、提灯の新たな可能性を求め、既存の概念にとらわれない提灯の在り⽅を提案していきます。
⽵割から紙貼りまで⼀貫した⼿作業で頑丈で無⾻な⼩嶋式提灯を⽣み出します。
江⼾時代から代々伝わる伝統製法をベースに、「素材やフォルム、空間」と「提灯」との関係性を模索し、提灯が⽣み出す新たな景⾊を創造し、未来に⼩嶋式提灯を伝承します。
https://kojima-shouten.jp/
⾦網つじ|辻 徹
京⾦網は、京料理を⽀える調理道具として料理をつくる⽅々に⻑らく愛⽤されてきた。これまでに学んだ知恵や経験を活かした「現代の⽣活に溶け込む商品づくり」をコンセプトに、⼿仕事で⾦網製品の製作・販売を⾏う。⾦網つじの「脇役の品格」という創作理念のもと、使っていただくことで⼼地良さを感じていただける⾦網製品をつくるために、⽇々ものづくりに精進している。
https://kanaamitsuji.com/
|キュレーター:中川周士、八木隆裕
|アートディレクター:森田明宏
|主催:株式会社 京都産業振興センター
|共催:京都市、「KYOTO KOUGEI WEEK」実行委員会
|協力:京都精華大学 伝統産業イノベーションセンター
イベント情報
- イベント名
- 京都伝統産業ミュージアム 特別企画展「SHOKUNIN pass/path」
- 日時
- 2021年11月6日(土)~2022年1月23日(日)
- 場所
- 京都伝統産業ミュージアム
- 参加費・入場料
- 料金 800円(18歳以下無料)
- 参加申込
- *peatix事前割引チケットはこちら→ https://peatix.com/event/3074963/view